無痛中絶手術について
妊娠、出産は、「1人の人間を産み育て上げる」という大きな責任を伴うもので、妊娠した女性の一生に影響する重大な出来事です。自分と生まれる子供と、二つの人生について重い決心を促されるのです。
十分に整った環境で出産に望める場合は良いでしょう。けれども、あらゆる人生のシチュエーションによっては、一つ一つの人生の歯車がうまくかみ合わないことがままあります。
年齢的にまだ親になる準備ができていない場合、経済的にやっていけないと思われる場合、そもそもパートナーとの関係自体に問題がある場合。
あるいは、自分のキャリアにとってマイナスである場合。いろいろなことで妊娠をあきらめざるを得ない女性がたくさんいらっしゃいます。
できれば、望まない妊娠は、きちんとした避妊で避けたいものですが、100%の避妊は存在しないのも事実。運悪く、望まない妊娠をしてしまったら、出来るだけ早い時期に手術をすることになるでしょう。
当院の考え方は、プロチョイス(妊娠初期においては、産むか産まないかの決定権は女性が持っているという考え方)です。
あなた自身の人生を良く考えて、これしかないのであればきっぱりと決心しましょう。
そして後ろ向きにならないでまっすぐ前を向いて、また歩き出しましょう。
そして、二度とこんなつらい思いをしないですむように避妊についても相談しましょう。
当院における中絶手術について
妊娠週数によりかわってきます。処置の時はあらかじめ痛み止めを用い、不安を除く工夫をし、極力、気持ちや体に負担がかからないよう配慮しています。
妊娠初期中絶(12週未満まで)と妊娠中期中絶(12週以降21週未満まで)では、行い方が違います。
当院では平成24年から中期中絶の取り扱いを終了いたしました。手術方法は参考までになさってください。
真空手動吸引(MVA)について
当院では今までも吸引式中絶を行ってきましたが、2016年から、真空手動吸引を導入しています。
子宮口を開くダイレーターや子宮に挿入するカニューレが、従来の金属製ではなくプラスチック製となっており子宮組織に対するダメージが軽くなることが期待され、また真空圧のみで吸引するので、圧がかかりすぎることもありません。
手動式では原則として、子宮内掻爬は行わないので子宮内膜が薄くなってしまうリスクも軽減します。将来の妊娠を希望する方、すでに中絶を受けたことがある方には望ましいと思われます。
基本的にあらかじめ頸管拡張の前処置をすることもしないので、手術に要する時間や痛みを軽減できます。器材はすべて使い捨てのため、器材費は別途ご負担いただきます。
また、流産手術では、特別な場合を除いて、原則、真空手動吸引を行います。
妊娠11週まで
子宮頸管をへガールという器具を用いて拡張し、吸引やかんし(子宮内容物を引っ張り出す器具)を持ちいて手術します。妊娠5週未満であればほとんど吸引のみで手術できます。妊娠9週または10週以降は術前に子宮頸管拡張を行うことが多くなります。その場合は当日または前日、子宮の入り口に、子宮頚管拡張材(ラミナリア、ダイラパンなど)を挿入、数時間から一晩かけて、ゆっくりと子宮の入り口を開きます(子宮の裂傷をふせぐため)。
手術の時は静脈麻酔と笑気麻酔を併用し、意識は全くありません。
気が付くと手術が終わっていることになるでしょう。
点滴、酸素投与とモニターを行いながら行います。
・手術時間は10分程度です。
・手術中は痛みも意識もありません。
・術後3~4時間休んでからお帰りいただきます。
手術前日から経過の一例
※来院時間について※
通常は11:00〜となりますが、
子宮頸管拡張処置のある場合は9:15〜となります。
時間 | スケジュール |
11:00 AM※ | 来院:受付・会計 |
鎮痛薬投与 | |
子宮頸管拡大処置 ※必要に応じて 術前の子宮頸管拡張をします |
|
12:30 PM | 術前薬投与 |
1:00 PM | 手術 |
5:30 PM | 診察・帰宅 |
術後の経過について
手術翌日は原則自宅で休養してください。体調が完全にもとに戻るには最低2週間くらいかかります。したがって、少量の出血、疼痛などがそれくらいあっても異常ではありません。
しかし、術後当院で処方するお薬の服薬中は、ほとんど出血も疼痛もない方も少なくありません。出血がなくて逆に心配される方もおられますが、むしろ経過がよいのだと思ってください。服薬終了後から出血と軽い風痛を覚える方もいらっしゃいます。いずれも軽度であれば心配ありません。
一週間後に必ず診察にいらしていただきますが、経過がよければそれで終了です。順調であれば術後4~5週間後に月経が再来します。術後2か月たっても月経が来ない場合、または2か月以上出血が続いている場合は、受診が必要です。
術後は、避妊のためと経過をよくするために低用量ピルをお勧めしています。手術当日から服用すれば、同時にその後の避妊が確実になります。ピルを服用しない場合は、術後2~3週間で排卵が起こり、もしそこで避妊をせずに性交渉があると、術後の月経を見ることなくすぐに妊娠してしまう恐れがあります。術後はピルを服用するか、服用しない場合は避妊を確実にするよう気を付けてください。
術後スケジュール
手術後 | スケジュール |
翌日 | 自宅安静 |
1週間後 | 術後検診 |
妊娠12週以降(中期中絶手術)
※当クリニックでは中期中絶手術は行っておりません 。
胎児が大きくなるため、出産のように陣痛をつけて胎児を子宮から娩出方法をとります。
原則として2日から3日の入院が必要になります。
前日または前前日に子宮頚管拡張材をいれ、週数に応じて、2回から3回入れなおします。(より大きく子宮の入り口を開かなければいけないので。)
当日は、早朝より、プレグランディンという膣座薬を膣に入れます。
これにより、陣痛が起こり子宮口が開いて胎児が娩出されます。
娩出されるまで、3時間ごとに挿入しますが、2から3回の挿入で終わることがほとんどです。
一日に5回挿入しても娩出にならないときは、いったん休んで翌日やり直します。
中絶手術費用 一覧
費用 | |
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初診診察料 | 11,000円(税込) |
感染症検査 | 11,000円(税込) |
術後診察料 | 5,500円(税込) |
費用 | |
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妊娠〜9週まで | 88,000円(税込) |
※頸管拡張費用(必要と判断された場合) 7,700円(税込) |
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妊娠10週〜11週 | 110,000円(税込) |
※クレジットカードが使用できます
※これまで設定していた火葬費用はいただきません。