■子宮膣部びらん
子宮膣部びらん(以下、びらん)は、子宮の入り口の赤く見える部分のことで、子宮頚部 (子宮の入り口部分)の内側を覆っている子宮頚管粘膜というものが外に向かって広がってきて生じたものです。本来、病的なものではなく女性ホルモンが活発な時期に多く見られる生理的な状態と考えられますが、その程度は生まれつき人によって違い、ほとんどびらんがない人から、子宮入り口全体がびらんの人までいろいろです。
びらんは子宮ガンではありませんから、検診などでびらんと診断されてもあわてることはありませんが、びらんの部分は円柱上皮という薄い皮膚で覆われているだけなので、炎症や不正出血を起こしやすいといえます。また、この円柱上皮は、もともと粘液を分泌する組織なので、びらん面が広いとそれだけ分泌物が増え、いつもおりものが多い状態になります。おりものが多くて婦人科で検査や膣洗浄などの治療をしてもなかなか良くならない、あるいは良くなってもすぐまた再発する人は、広範囲のびらんが原因かもしれません。
びらんは、膣洗浄や薬では治りません。それらで症状は一時的に良くなりますが、またすぐ再発します。一時的にではなく、きちんと治すには手術が必要になります。手術といっても、何日も入院したり、おなかを切ったりする必要はなく、日帰りでできる手術です。(
下平式高周波凝固法→後で詳しくご説明します)
ただし、びらんがあることがそのまま手術を必要とすることにはなりません。上に書いたように、もともと生理的なものですから、それがあることによる不都合さえなければ、あわてて治療する必要はありません。
手術が勧められるのは、びらんがあることによっておりものが多くて悩んでいる方、不正出血がしばしばある方です。細菌感染や性感染症にかかりやすく、びらんの程度が強い場合も同様です。
また、ガン検診で、軽度もしくは中等度の異形成があるといわれた場合も、この手術により異常な部分を取り除くことができます。異形成のごく初期の段階で治療することにより、その後、それらの細胞がガン化するのを防ぐことができると考えられます。